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浮かんだストーリーとか。絵とか。日常とか。
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今、僕は南に向かっててくてく歩いている途中だ。
あたり一面の雪景色、周りは真っ白。
だけど、てくてく歩いているうちに真っ白から黄色、そのうち緑、だんだんと景色がいろんな色の顔を見せ始めた。
もうちょっと、もうちょっとで着くはずだぞ。

てくてく歩き続けると、僕の瞳いっぱいに青、青、青。
「わぁ!海だ!」
僕は嬉しくなって駆け出した。

「こらこら、そんなに走っちゃ転んじゃうよ」

突然話しかけられて、僕は足をとめた。
ん?あれれ?この人はもしかして…
「おじいさん!」
「??」
僕の声におじいさんはびっくりした様子。

間違いない。この人は美味しいスープを飲ませてくれたおじいさんだ!
わぁ、嬉しいなぁ。後からちゃんと捜さなきゃって思ってたけど、まさかこんなに早く見つかるなんて。しかもおじいさんから声をかけてくれた!

「ごめんなさいおじいさん。僕、あなたの娘さんに会いに来たんだ。」
「私の娘にですか?すみません。娘は今ベッドで眠っていることでしょう。娘は重い病気にかかっています。起き上がる事もままならないでしょう。」
「それでもいいんだ。お願いおじいさん、娘さんに会わせてください。」
「はぁ。それは別にかまいませんが…それにしても不思議です。娘は一歩も家から出た事はありません。いつの間に君の様な可愛らしい男の子と友達になったのかな?」
「会うのはね、今日がはじめてなんだ!でも、とっても優しい娘さんて事だけはわかるんだ。」

僕とおじいさんは一緒にてくてく歩く。
歩く度に海が近づいてきて、僕の瞳にはもう、海しか見えない。

「ここが家です。何もない所ですがどうぞゆっくりしていってください。冷たいジュースをあげましょう。」
そう言って、おじいさんは家に案内してくれた。おじいさんの家は砂壁で出来ていて、壁を白いペンキで塗っていた。その白い壁が、すぐ近くの海の青色と混ざって、すごく綺麗。

「ありがとう!僕、ちょうどジュース飲みたいなぁって思ってたところだったんだ。それにしても、本当に海が近くにあるんだね。僕びっくりしちゃったよ」
「娘もこの海が大好きなんです。娘は奥の部屋にいると思いますのでどうぞ会ってやってください。」

僕はちょっぴり緊張して、部屋のドアをノックした。

コン、コン

「はぁい。」

わぁ。すっごく可愛らしい声。
「こんにちは」
そう言いながら僕はドアを開けた。

中に入ると、部屋の右角に少し大きめの机。その上には広げたままのノートとペン。
壁には何枚かの写真が飾られていて、左の角の方に白いベッド。
その上にちょこんと女の子が座っていた。布団いっぱいにパズルのピースを並べて考え込んでいた。

「あれ、寝てなくて大丈夫なの??」
「平気よ。わたし、元気だもの。それより、あなたはだぁれ?」
僕のほうを一度も見ずに、ピースを組み立てながら話しかけてきた。どうやら今は、パズルの枠を完成させるのに必死なよう。

「僕は、冒険家だよ。君に会いに来たんだ。」
「冒険家さん?わたし、そんなお仕事、知らない。それよりねぇねぇ、これ、手伝ってくれない?」

そう言って初めて女の子は僕のほうをみた。
女の子の瞳は綺麗な茶色で、髪の色も栗色。
見つめられて、ちょっぴり照れちゃった。

「うん。いいよ。一緒にパズルしよう」
「嬉しい!がんばって完成させましょ!」

顔いっぱいに笑顔をつくって女の子は喜んだ。
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僕は冒険家だ。
自分で自分の事を冒険家だなんて言っちゃうのはちょっぴり恥ずかしいけれど、誰も言ってくれないから自分で言う事にした。

さぁて、今日の冒険先はどこにしよう。

それじゃ、いつもの様に紙飛行機とばしてみるよ。
紙飛行機の向かった先が目的地だ。

ぴゅーん。

紙飛行機は北に向かって飛んでった。
それじゃ、紙飛行機目指していざゆかんっ!徒歩で!

鼻歌交じりに道をてくてく進むと、いつの間にやら辺りは一面の雪景色。
うわぁ、寒いなぁ。もっと厚着してくればよかった。このままじゃ僕、風邪引いちゃうよ。
ん?遠くに小屋の様なものが見えるぞ?あそこでなら暖を取れるかもしれないっ!行ってみよう!

小屋の前までやってきた僕。紙飛行機もその場に落ちていた。
遠慮気味に扉をノックしてみる。

コン、コン

「はい」

おや?どうやら中に人がいるようだね。

「すみません。とても寒くて風邪を引いちゃいそうなんです。少しの間暖をとらせてはもらえませんか?」

「どうぞどうぞ。何も無いところですが暖をとることくらいは出来ます。さぁ、入って下さい。」

あぁ良かった。安心して扉を開けるとそこには年老いた男性の姿がありました。

「いらっしゃい、暖かいスープをあげましょう。」
「わぁ!ありがとう。おじいさん、優しいんだね!」
「いいえ、私は優しくなんかありません。心が優しければ私はこんな北の片隅にいることはないのです。」
「どういう事だいおじいさん。僕、よくわからないや」
「私は昔、南の、海の見える場所で『時』を作る仕事をしておりました。一緒に娘も住んでいたのですが、娘はそれは病弱で、起き上がることも出来ず、毎日家のベッドから青い海を眺めておりました。」
「娘さんは今はいないの?」
「はぁ、そうなんです。これも全て私が悪いんです。私は唯一の自分に与えられた仕事、『時』を操作してしまった。」
「『時』を?」
「ええ。そうなんです。娘は本当に病弱で、ある日、酷い病気にかかってしまった。毎日苦しそうに顔を歪める娘の顔を見る度、可哀想で可哀想でしょうがなかった。そこで私は思うのです。作ってしまった『時』のネジを巻き戻せばいいのではないかと。」
「でも、そんな事をしてしまったら…」
「そうです。世の中の全ての軸がゆがんでしまう。でも、私は娘を愛していた。愛しい娘の苦しそうな表情を見る度私は心がくしゃくしゃに潰されそうなほど辛くてしょうがなかった。私は絶対にやってはいけないことをやってしまった。自分の欲望の為に、他人の事などその時は頭にこれっぽっちもなかったのです。こんな人間が優しいといえるでしょうか。」
「おじいさん…」
「娘はもういません。『時』を何度戻しても娘はその病気にかかった。結局娘はそういう運命だったのでしょう。運命に逆らうことは出来ません。」

「おじいさん、娘さんに、また会いたい?」

「…いいえ、もうそうは思いません。私は何度も『時』を戻し、娘に会いに行った。その度に娘は私にこう言うのです「お父さん、生きれなくてごめんなさい」と。もしかしたら娘は気づいていたのかもしれない。私が何度も『時』を操作し娘に会いに来ていたことを。辛かったでしょう。私は生きられない悔しさを何度も娘に味わわせてしまった。」



「おじいさん、ぼく、急にちょっと用を思い出したよ。おじいさん、ちょっとだけ出かけてきてもいい?また暖かいスープをもらいにきてもいい?ほんのちょっと用事を思い出したんだ。」

「はぁ…どうぞどうぞいつでも来てください。私はいつでもここにいます。」
「ありがとう。それじゃ、ちょっといってくるね」

外に出て、僕は小屋の外にあった紙飛行機を拾い上げ、南のほうへ向けて飛ばした。
紙飛行機が向かった先が僕が向かう場所。
さぁ、南に向かって歩くぞ僕。
僕は冒険家だ。
自分で自分の事を冒険家だなんて言っちゃうのはちょっぴり恥ずかしいけれど、誰も言ってくれないから自分で言う事にした。

移動手段はもちろん徒歩!車なんて洒落たものはもってない。

今日の冒険先はどこにしよう。
それじゃ、いつもの様に紙飛行機とばしてみるよ。
紙飛行機の向かった先が目的地だ。

ぴゅーん。

おっと。今日は風が少し強いみたい。紙飛行機はあっという間に風に乗って遠くの方へ飛んでっちゃった。

よぉし。紙飛行機の指す方向へ進むぞ僕!

てくてく歩くと公園が見えてきた。その公園の水飲み場の辺りに女の子がぽつんと座っている。
何歳くらいかな?僕と同じくらいかな?
僕は女の子に近づいて
「ねぇねぇ何しているの?」
話しかけると女の子は
「お家がわからなくなっちゃったの」

これは大変だ。今はもう夕方!女の子が困っている!冒険家の僕が何とかしなければ。

「僕がお家までつれてってあげる」
「ほんとぉ?ありがとう!」
女の子は顔いっぱいに笑顔を作って喜んでくれた。僕ってもしかしたらいい人かもしれない。
「ところで君はどっちの方から来たの?」
「んーん。それがね、わからないの…」
これは困った。どこから来たのかもわからないなんて。
「それじゃぁさ、君のお家の周りには何か目印になる様なものは無かったかい?」
「うーん…。あっ!そぉいえば象さんのすべり台が近くにあった気がする!」
「他には?」
「んーん。わかんない」

象のすべり台…手がかりはこれだけか。これだけの手がかりだけで女の子の家を探し当てるなんて中々どうして難しい。
さてどうしたものかと僕は遠くの方へ目をやった。

ん?あれはもしかして…
「ねぇねぇ、もしかして、象のすべり台ってあれかい?」
僕は女の子の肩をたたき遠くの方を指差した。
公園の端のほう。斜め角の場所に象のすべり台があった。
「あっ!うんうんあれよ!わぁありがとう!!ここからなら私、歩いて帰れる。ありがとう!ありがとう!」

あぁ良かった。女の子はこれで無事にお家へ帰れる。ほんと、安心したよ僕。
「お礼にこれあげるっ!」
女の子はまたさっきの笑顔を僕に向けて自分のお尻の辺りからそれを差し出した。
「これは…紙飛行機じゃないか。」
「うん。私が困っていたらね、遠くの方から飛んできて私の足元に止まったの。それからしばらくしたら君がやってきて私のお家を探し出してくれたの。」
「そうか。それはよかった。それじゃぁ、僕がここに来ることは必然だったんだね。大事に紙飛行機持っててくれてありがとう。出会えて嬉しいよ僕」
「私も。ありがとう。ありがとう。」

今日の冒険は女の子とお家を捜す冒険だった。
僕の心は出発する前に比べてだいぶ軽い。

明日も冒険頑張ろう。
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