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浮かんだストーリーとか。絵とか。日常とか。
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僕は冒険家だ。
自分で自分の事を冒険家だなんて言っちゃうのはちょっぴり恥ずかしいけれど、誰も言ってくれないから自分で言う事にした。

さぁて、今日の冒険先はどこにしよう。

それじゃ、いつもの様に紙飛行機とばしてみるよ。
紙飛行機の向かった先が目的地だ。

ぴゅーん。

紙飛行機は北に向かって飛んでった。
それじゃ、紙飛行機目指していざゆかんっ!徒歩で!

鼻歌交じりに道をてくてく進むと、いつの間にやら辺りは一面の雪景色。
うわぁ、寒いなぁ。もっと厚着してくればよかった。このままじゃ僕、風邪引いちゃうよ。
ん?遠くに小屋の様なものが見えるぞ?あそこでなら暖を取れるかもしれないっ!行ってみよう!

小屋の前までやってきた僕。紙飛行機もその場に落ちていた。
遠慮気味に扉をノックしてみる。

コン、コン

「はい」

おや?どうやら中に人がいるようだね。

「すみません。とても寒くて風邪を引いちゃいそうなんです。少しの間暖をとらせてはもらえませんか?」

「どうぞどうぞ。何も無いところですが暖をとることくらいは出来ます。さぁ、入って下さい。」

あぁ良かった。安心して扉を開けるとそこには年老いた男性の姿がありました。

「いらっしゃい、暖かいスープをあげましょう。」
「わぁ!ありがとう。おじいさん、優しいんだね!」
「いいえ、私は優しくなんかありません。心が優しければ私はこんな北の片隅にいることはないのです。」
「どういう事だいおじいさん。僕、よくわからないや」
「私は昔、南の、海の見える場所で『時』を作る仕事をしておりました。一緒に娘も住んでいたのですが、娘はそれは病弱で、起き上がることも出来ず、毎日家のベッドから青い海を眺めておりました。」
「娘さんは今はいないの?」
「はぁ、そうなんです。これも全て私が悪いんです。私は唯一の自分に与えられた仕事、『時』を操作してしまった。」
「『時』を?」
「ええ。そうなんです。娘は本当に病弱で、ある日、酷い病気にかかってしまった。毎日苦しそうに顔を歪める娘の顔を見る度、可哀想で可哀想でしょうがなかった。そこで私は思うのです。作ってしまった『時』のネジを巻き戻せばいいのではないかと。」
「でも、そんな事をしてしまったら…」
「そうです。世の中の全ての軸がゆがんでしまう。でも、私は娘を愛していた。愛しい娘の苦しそうな表情を見る度私は心がくしゃくしゃに潰されそうなほど辛くてしょうがなかった。私は絶対にやってはいけないことをやってしまった。自分の欲望の為に、他人の事などその時は頭にこれっぽっちもなかったのです。こんな人間が優しいといえるでしょうか。」
「おじいさん…」
「娘はもういません。『時』を何度戻しても娘はその病気にかかった。結局娘はそういう運命だったのでしょう。運命に逆らうことは出来ません。」

「おじいさん、娘さんに、また会いたい?」

「…いいえ、もうそうは思いません。私は何度も『時』を戻し、娘に会いに行った。その度に娘は私にこう言うのです「お父さん、生きれなくてごめんなさい」と。もしかしたら娘は気づいていたのかもしれない。私が何度も『時』を操作し娘に会いに来ていたことを。辛かったでしょう。私は生きられない悔しさを何度も娘に味わわせてしまった。」



「おじいさん、ぼく、急にちょっと用を思い出したよ。おじいさん、ちょっとだけ出かけてきてもいい?また暖かいスープをもらいにきてもいい?ほんのちょっと用事を思い出したんだ。」

「はぁ…どうぞどうぞいつでも来てください。私はいつでもここにいます。」
「ありがとう。それじゃ、ちょっといってくるね」

外に出て、僕は小屋の外にあった紙飛行機を拾い上げ、南のほうへ向けて飛ばした。
紙飛行機が向かった先が僕が向かう場所。
さぁ、南に向かって歩くぞ僕。
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